(指定基準省令第183条の規定に基づく身体的拘束等の適正化のための指針) 

医療法人社団三思医光会 シニアグランドホーム ブルーメンハイム・トーホー

1. 身体拘束禁止の理念

(イ 施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方)

シニアグランドホーム ブルーメンハイム・トーホーは、「生活の場」であり、「入居者のその人らしい暮らしの支援」をビジョンの1つに掲げています。こうしたことから、人としての尊厳を損なう身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下この指針では「身体拘束」と言います。)は禁止です。
したがって、身体拘束は、入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、認められません。これは、法令にも定められています。
シニアグランドホーム ブルーメンハイム・トーホーでは、多職種連携で入居者のアセスメントに取り組み、入居者のこれまでの人生やこれからの希望に寄り添います。入居者の言動の背景を理解して、ケアプランを策定・実行します。これによって、身体拘束に頼らず、入居者のその人らしい暮らしの実現を図ります。

【参考】身体拘束に該当する具体的な行為

(1)徘徊しないように、車いすや椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
(2)転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
(3)自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
(4)点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢等をひも等で縛る
(5)点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける
(6)車いすや椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける
(7)立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
(8)脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
(9)他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る
(10)行為を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
(11)自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する

2. 身体拘束禁止の方針

(ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針)

(1)身体拘束の禁止

当ホームにおいては、原則として身体拘束を行いません。

(2)緊急やむを得ず身体拘束を行う場合

本人又は他の利用者の生命又は身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体拘束を行う場合は、切迫性・非代替性・一時性の3要件の全てを満たした場合のみ、本人・家族への説明・確認を得て行います。また、身体拘束を行った場合は、その態様等を記録するなど、十分な観察を行うとともに、介護サービスの質の評価及び経過の記録を行い、できるだけ早期に拘束を解除します。

(3)身体拘束禁止に取り組む姿勢

  • 身体拘束禁止に関する取組みは、介護部長を中心として、全職員・多職種連携で取り組みます。ケアに悩むことがあれば、一人で抱え込まず、他の職員、介護リーダー、他の職種、施設長、必要に応じて、主治医等に相談します。身体拘束は、職員の誇りや士気の低下を招くおそれがあることを理解します。
  • 多職種の視点から入居者のアセスメントに取り組み、入居者自身、入居者の言動の背景を理解して、その人らしい暮らしを支援するケアプランを策定・実行します。転倒などよりも、行動制限による苦痛を強いることの方が、尊厳を侵してしまうことを理解します。
  • 家族から身体拘束を希望されても、それをそのまま受け入れるのではなく、入居者本人にとって居心地のいい環境・ケアを創り上げるため、家族と一緒に考えます。
  • 入居者等の生命又は身体を保護するためであっても、常に代替的な方法を考えます。緊急やむを得ずどうしても身体拘束を行わざるを得ない場合も、極めて限定的にします。

3. 身体拘束禁止のための体制

(ロ 身体的拘束適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項)

(1)身体拘束禁止委員会(指定基準省令第183条の規定に基づく身体拘束の適正化のための対策を検討する委員会)を設置し、3ヶ月に1回以上開催します。

(2)身体拘束禁止委員会は、施設長、生活相談員、計画作成担当者、看護職員、介護リーダー等で構成します。必要に応じて、協力医療機関の医師、精神科専門医等の専門医等の助言を仰ぎます。

(3)身体拘束禁止委員会の構成メンバーの責務及び役割分担は、以下のとおりとします。

責務・役割分担担当者
身体拘束禁止委員会の責任者ケア全般の責任者である介護部長
身体拘束禁止対応策の担当者介護課長
身体拘束実施時のケアプランの見直しや入居者・保証人に対する説明計画作成担当者
生活相談員
医療的ケアに関する検討・助言看護職員
第三者・専門家必要に応じて、協力医療機関の医師、精神科専門医等

(4)身体拘束禁止委員会では、以下の項目を検討・決定します。

  1. 本指針6に定める「身体拘束に関する報告」の様式を整備します。
  2. 身体拘束禁止対応策の担当者から、前回委員会の議事録及び身体拘束の解除に向けての経過観察記録について報告します。
  3. 報告された事例について、身体拘束の状況等を集計・分析し、身体拘束の発生原因、結果等をとりまとめ、当該身体拘束を解除できないかや三要件の確認(適正性)と解除に向けた対策(適正化策)を検討します。
  4. 解除に向けた対策(適正化策)を講じた場合には、その効果について評価します。

(5)身体拘束禁止委員会の結果は、全職員に議事録を交付または回覧するなどして周知徹底します。

4. 身体拘束禁止のための研修

(ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針)

(1)身体拘束禁止のため、介護職員その他の従業者に対する職員研修を、年2回以上行います。

(2)新規採用時(派遣社員等の入職時を含む。)に、必ず身体拘束禁止のための研修を実施します。

(3)研修の内容は、以下のとおりとします。

  1. 身体拘束の禁止に関する基礎的内容の適切な知識の普及・啓発
  2. 本指針に基づく、身体拘束の禁止に関する徹底

(4)研修の実施内容、実施日時、受講者等については、記録を残します。

5. 緊急やむを得ず身体拘束を行わざるを得ない場合の対応

(ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針)

(1)本人又は他の利用者の生命又は身体を保護するための措置として、緊急やむを得ず身体拘束を行わなければならない場合、次の3つの要件のすべてを確認します。入居者の家族の希望であっても、施設が以下の要件を満たさないと判断する場合には、身体拘束を行ってはなりません。

切迫性:入居者本人又は他の入居者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと

非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に、代替する介護方法がないこと

一時性:身体拘束その他の行動制限が、一時的なものであること

(2)要件を満たしているか、身体拘束の内容、期間等は、慎重な手続きで確認します。

  • 「緊急やむを得ない」に該当するかどうかの判断は、個人では行わず、施設全体としての判断が行われるように、身体拘束委員会を臨時開催し、身体拘束禁止委員会で判断します。
  • 身体拘束禁止委員会において、3つの要件の確認や、身体拘束の内容、目的・理由、時間、期間等を検討し、議事録に残します。期間は1ヶ月以内の期間とします。
  • 入居者本人や家族に対して、身体拘束の内容、目的・理由、時間、期間等をできる限り詳細に説明し、十分な理解を得て、確認書に署名をいただきます。身体拘束の実施終了日以降において、なお身体拘束を必要とする場合においては、実施終了日前に入居者・家族等に対してあらためて説明・確認した上で実施することとします。

(3)身体拘束に関する記録を行い、定期的に振り返り、身体拘束の解除に取り組みます。

  • 緊急やむを得ず身体拘束を行う場合には、「身体拘束の解除に向けての経過観察記録」にその態様及び時間、その際の入居者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録します。
  • 具体的な記録情報をもとに、職員間、家族等関係者間で直近の情報を共有します。「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかを常に観察、再検討し、1ヶ月に1回以上は、身体拘束の解除に向けて検討するとともに、要件を満たさない場合には、ただちに解除します。

6. 身体拘束に関する報告

(ニ 施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針)
  • 緊急やむを得ず身体拘束を行わなければならない場合には、身体拘束の内容、期間等を確認し、身体拘束禁止委員会の議事録として記録を残し、介護職員その他の従業者に報告します。
  • 身体拘束の解除に向けての経過観察記録は、身体拘束禁止委員会に報告します。

7. 入居者等による本指針の閲覧

(へ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針)
  • 本指針は、入居者及び保証人が閲覧できるようにします。

2025年 更新 酒井